ルーマニア歳時記
豊の秋(とよのあき)。この国の秋の豊かさを神に感謝し喜び祝う人々の気持ちは、葡萄の収穫を祝う祭りに代表される。田舎へ行けばワイナリーに限らず、各家庭でもワイン造りに精を出す。この自家製の熟成前のワインはフルーティでつい飲み過ぎてしまう。ギリシャ神話に登場する酒の神“バッカス(ディオニュソス)”はトラキア族の神様であったといわれている。肥沃な土壌にたわわに実った葡萄は上等のワインを造りだし、酒の神様まで生み出したのだろうか。
ワイン造りはダチアの名将ブレビスタのころから盛んであったようだ。彼は敵に対する戦士らの士気を高めるため禁酒令を出し、国中の葡萄の木を切り倒させたという逸話が残っている。
この季節、ルーマニアを訪れた人は、自然の恵みに感謝せずにはいられないだろう。
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